武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
M社長の第二創業
●「どうして君の会社、工賃仕事なのにそんなに儲かるの?」
と経営者仲間に聞かれるM社長(37歳)は、自動車部品製造を営む二代目社長。
実は、Mさんは2年前までは、まったく逆のことをよく聞かれていました。
「どうして君の会社はそんなに儲からないの?」と。
●事実、それまでMさんの会社は低収益で資金難にあえいでいました。「これが工賃仕事の宿命なのだ」となかば悟りを開きつつあったある日、Mさんに転機が訪れます。
●2年前、Mさんは中部地区に本社を構える中堅菓子メーカーの社長に出会いました。高収益で有名なこの社長に、思い切って苦しい台所事情を告白すると、やさしい言葉づかいながらも衝撃的な答えが返ってきたのです。
「そんなに苦しくて、そんなに儲からないのなら、会社経営などやめてサラリーマンになりなさい。そのほうがよっぽどみんなのためになるから。経営者をやってグチをいうなど最低の行為ですよ」
●ショックを受けたMさんは、悔しさまぎれにいろいろと質問を続けました。すると、その菓子メーカーでは、賞与や福利厚生などを考慮すれば、アルバイトであっても時間給換算で5000円相当になることがあると聞いてさらに驚きました。Mさんの会社では、幹部社員ですら時間給換算で2,400円相当と、ほぼ半額にしかなっていなかったからです。
●「儲からない会社を営むということは、社員の人生も不幸にする」と気づいたMさんは深く反省し、「きっと工賃仕事でも高収益企業が作れるはずだ」と勉強を開始しました。この2年前の決心が、Mさんと会社にとっての「第二の創業」となったのです。
●今では従業員20名、年商2億円、経常利益2,800万円をたたき出す会社になりました。「挑戦はまだ始まったばかりです」とMさんは謙遜しますが、見事な躍進ぶりです。そこで、この2年間、どのような取り組みをしたのかを尋ねてみました。
・・・
まずは私も含めた社内の意識改革です。「儲かる会社を作ろう」ということと、社員やパートさんに向かって、「きちんとした立場できちんとした仕事をしよう。そして、きちんと収入がとれるようになろう」という訴えをしました。小さい町工場でも正社員になって幹部になれば、年収1000万円プレーヤーが出ても不思議ではない、と言い続けました。そうじゃなきゃ、つまらないでしょ。
また、達成したい利益額や利益率を明確に決めました。そこから逆算して、顧客に請求したい工賃を算出。それにふさわしい仕事ぶりを社内で作り上げていきました。当然、仕事は以前にくらべて難易度が高く、特殊性のあるものに変わっていきました。
・・・
●この話を横で聞いていた年配の社長がMさんに質問をしました。
「今の資金繰りはどう? やっぱり楽になった?」
Mさんは笑顔で答えました。「ええ、努力した分だけね」
●年配社長の独り言が聞こえました。
「僕も会社を作って25年になるが、よくも漫然と経営してきたものだよ。Mさんみたいにたった2年で大変身ができるというのなら、今からでも遅くない。オレもやるよ!」
さて、この年配社長にも出来るでしょうか? その答えは神のみぞ知るのですが、鍵を握るのは当のご本人であることは言うまでもありません。
と経営者仲間に聞かれるM社長(37歳)は、自動車部品製造を営む二代目社長。
実は、Mさんは2年前までは、まったく逆のことをよく聞かれていました。
「どうして君の会社はそんなに儲からないの?」と。
●事実、それまでMさんの会社は低収益で資金難にあえいでいました。「これが工賃仕事の宿命なのだ」となかば悟りを開きつつあったある日、Mさんに転機が訪れます。
●2年前、Mさんは中部地区に本社を構える中堅菓子メーカーの社長に出会いました。高収益で有名なこの社長に、思い切って苦しい台所事情を告白すると、やさしい言葉づかいながらも衝撃的な答えが返ってきたのです。
「そんなに苦しくて、そんなに儲からないのなら、会社経営などやめてサラリーマンになりなさい。そのほうがよっぽどみんなのためになるから。経営者をやってグチをいうなど最低の行為ですよ」
●ショックを受けたMさんは、悔しさまぎれにいろいろと質問を続けました。すると、その菓子メーカーでは、賞与や福利厚生などを考慮すれば、アルバイトであっても時間給換算で5000円相当になることがあると聞いてさらに驚きました。Mさんの会社では、幹部社員ですら時間給換算で2,400円相当と、ほぼ半額にしかなっていなかったからです。
●「儲からない会社を営むということは、社員の人生も不幸にする」と気づいたMさんは深く反省し、「きっと工賃仕事でも高収益企業が作れるはずだ」と勉強を開始しました。この2年前の決心が、Mさんと会社にとっての「第二の創業」となったのです。
●今では従業員20名、年商2億円、経常利益2,800万円をたたき出す会社になりました。「挑戦はまだ始まったばかりです」とMさんは謙遜しますが、見事な躍進ぶりです。そこで、この2年間、どのような取り組みをしたのかを尋ねてみました。
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まずは私も含めた社内の意識改革です。「儲かる会社を作ろう」ということと、社員やパートさんに向かって、「きちんとした立場できちんとした仕事をしよう。そして、きちんと収入がとれるようになろう」という訴えをしました。小さい町工場でも正社員になって幹部になれば、年収1000万円プレーヤーが出ても不思議ではない、と言い続けました。そうじゃなきゃ、つまらないでしょ。
また、達成したい利益額や利益率を明確に決めました。そこから逆算して、顧客に請求したい工賃を算出。それにふさわしい仕事ぶりを社内で作り上げていきました。当然、仕事は以前にくらべて難易度が高く、特殊性のあるものに変わっていきました。
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●この話を横で聞いていた年配の社長がMさんに質問をしました。
「今の資金繰りはどう? やっぱり楽になった?」
Mさんは笑顔で答えました。「ええ、努力した分だけね」
●年配社長の独り言が聞こえました。
「僕も会社を作って25年になるが、よくも漫然と経営してきたものだよ。Mさんみたいにたった2年で大変身ができるというのなら、今からでも遅くない。オレもやるよ!」
さて、この年配社長にも出来るでしょうか? その答えは神のみぞ知るのですが、鍵を握るのは当のご本人であることは言うまでもありません。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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