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迷子にならないために

投稿日時:2009/10/02(金) 11:18rss

●フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、「『迷子(まいご)』とは、自分の所在がわからなくなり、目的地に到達することが困難な状況に陥った子供、もしくはその状態を指す」、とあります。また、百貨店や行楽地、その他の雑踏などにおいて、本人の目的に関わりなく、引率者が子供の所在を確認できなくなった時点で迷子とみなされる、ともあります。

●迷子は子供だけがなるものではありません。大人でも迷子になります。実際私も、初めて訪れた外国の町で迷子になったことが何度もありました。しかし、子供とは違い、お金は持っていますし、携帯電話もあるのでパニックにはならないで済んでいるだけのことです。

最近は、人生の迷子、経営の迷子をよく見かけます

・目的地がどこか分からない
・目的地への道順が分からない
・そもそも、今どこにいるのか分からない

という意味での「迷子」は、全国にたくさんいるのではないでしょうか。
●私がコンサルタントを始めた15年前、ある社長からこんな話を聞きました。

「うちは創業以来20年間一度も赤字を出したことがないし、金銭的苦労をしたこともない。こんなにも会社経営って簡単なものなのに、世間では社長業って大変だなんて言っている。

そんなとき、俺も一発、社長らしいことをやってみようと、自社ビルを建てることを決め、生まれて初めて借金をした。当時の売上高の何倍もの金額を借り、ようやく完成した自社ビルの落成記念パーティの案内状を作っているとき、バブルが崩壊した。その後、あっという間に倒産の危機に見舞われ、今では社長業って本当に大変だなあと実感している」

●私が「社長、顔色もいいし、お元気そうですがよく生き残ってこられましたね」と言うと、その社長は神妙な顔でこんな話しをしてくれました。

「武沢さん、私はものすごくラッキーだったと思う。なぜなら、倒産の危機に見舞われて以来10数年間、運転資金を銀行から借りることができなくなった。そのおかげで、利益と現金が酸素のように大事なものだと実感できるようになったし、それを先行管理するための方法を考案し、社長らしい仕事をやれるようになっていったのだと思う

●そこで私が、「社長らしい仕事って何ですか」と質問すると、「現実に向き合い、将来に向き合うことでしょ」という答えが返ってきました

●この社長、資金繰りに追われて困窮しているときは、すべてを経理に任せ、自分は現実から逃げていたそうです。しかし、逃げていてはかえって不安が広がるのだと気づき、月末にいくら足りないのか、いつなら支払えるのか、来月はどんな見通しなのか、といった問題や現実に社長自身が向き合いました。その結果、会社が良い方向に向かいだしたといいます。

逃げると迷子になるのです。経営者自身が「今自社はどこにいるのか」を確認し、向かうべきゴールをもう一度フォーカスしなおす作業をちゃんとやっている会社は、どんな時代がやってきてもしなやかに対応することができます。

●2009年もいよいよ最終四半期に入りました。今どこにいるのか? 残り3か月の目標は何なのか? をもう一度確認しましょう。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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