武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
表敬訪問の重要性
●名古屋で金属加工業を営み、先代の跡を継いで5年目になるS社長(51歳)と話したときのことです。
武沢:「経営の調子はどうですか?」
S :「不況の影響を受けていますが、先代が非常に堅実な経営をやっていたおかげで財務体質には問題ありません。無借金で経営できているということは、今の時代、ものすごい武器になっていると思います」
武沢:「それは素晴らしいですね。では、社長に就任してからいちばん苦労されたことは何ですか?」
という問いに対し、返ってきた答えは「先代社長と比べられること」。また、S社長の会社だけでなく、主力取引先の多くで世代交代が進んだため、先代同士ほどの濃い人間関係がつくれていないことも心配の種ということでした。
●跡を継いだ社長が、先代の人間力やカリスマ性を真似しようとしても無理な話であり、純粋に商品の善し悪しや価格の競争力、サービスの充実具合などが問われることになります。そのため、世代交代というものは、長年続いた取引先を失う危険性をはらんでいるのです。
●幸い、「先代のように人間力で売ることなどできない」と早くから気づいていたS社長は、純粋に商品やサービスで勝負しようと決意していたといいます。
●さて、あなたの会社は、社長個人の人間力で売れているのか、それとも純粋に商品・サービスの魅力で売れているのか、どうやって判断しているのでしょうか。「その両方で売れている」と考えているかもしれません。しかし、世代交代をする際には、社長個人が持つ人間力を差し引いて評価をし直す必要があるかもしれません。
●ただし、人間力に頼らないとはいえ、定期的に行ないたいのが社長の客先訪問です。「表敬訪問」というと何か儀礼的な訪問に思われますが、実は社長の表敬訪問ほど効果のあるトップ営業はありません。「社長の表敬訪問は、セールスマンの100回の訪問に勝る」(経営コンサルタント・一倉定氏)と言われますが、まさしくその通り。郵便物のポスティング1000枚にも勝ると思います。
●表敬訪問をするときに前もってアポイントを入れておくと、先方も社長や役員が応対してくれることでしょう。そのとき、地元の名産品や地酒に加え、自社の経営計画も持参すれば最高です。
●そして、訪問した際に自社の情報を積極的に開示すると、先方も今後の見通しなどの情報を聞かせてくれるはずです。そうした会話の中から、それまで気づいていなかったニーズや隠れた不満などがわかることもあるでしょう。
●さらにもう1つ、トップの表敬訪問には重要な役割があります。それは、同業他社の動向をつかむこと。他社がどれくらいの頻度で訪問し、どのように攻勢をかけているのか。あるいは、同業他社の社長も表敬訪問をしているのかどうか、それとなく聞き出すのです。それによって、自社の優位性がどの程度なのかを知ることができます。
●とくに、重要な顧客に対してはトップ同士の情報戦がカギとなります。製品やサービスの質や価格で勝負するのは素晴らしい心意気ですが、表敬訪問も決しておろそかにすべきではありません。
武沢:「経営の調子はどうですか?」
S :「不況の影響を受けていますが、先代が非常に堅実な経営をやっていたおかげで財務体質には問題ありません。無借金で経営できているということは、今の時代、ものすごい武器になっていると思います」
武沢:「それは素晴らしいですね。では、社長に就任してからいちばん苦労されたことは何ですか?」
という問いに対し、返ってきた答えは「先代社長と比べられること」。また、S社長の会社だけでなく、主力取引先の多くで世代交代が進んだため、先代同士ほどの濃い人間関係がつくれていないことも心配の種ということでした。
●跡を継いだ社長が、先代の人間力やカリスマ性を真似しようとしても無理な話であり、純粋に商品の善し悪しや価格の競争力、サービスの充実具合などが問われることになります。そのため、世代交代というものは、長年続いた取引先を失う危険性をはらんでいるのです。
●幸い、「先代のように人間力で売ることなどできない」と早くから気づいていたS社長は、純粋に商品やサービスで勝負しようと決意していたといいます。
●さて、あなたの会社は、社長個人の人間力で売れているのか、それとも純粋に商品・サービスの魅力で売れているのか、どうやって判断しているのでしょうか。「その両方で売れている」と考えているかもしれません。しかし、世代交代をする際には、社長個人が持つ人間力を差し引いて評価をし直す必要があるかもしれません。
●ただし、人間力に頼らないとはいえ、定期的に行ないたいのが社長の客先訪問です。「表敬訪問」というと何か儀礼的な訪問に思われますが、実は社長の表敬訪問ほど効果のあるトップ営業はありません。「社長の表敬訪問は、セールスマンの100回の訪問に勝る」(経営コンサルタント・一倉定氏)と言われますが、まさしくその通り。郵便物のポスティング1000枚にも勝ると思います。
●表敬訪問をするときに前もってアポイントを入れておくと、先方も社長や役員が応対してくれることでしょう。そのとき、地元の名産品や地酒に加え、自社の経営計画も持参すれば最高です。
●そして、訪問した際に自社の情報を積極的に開示すると、先方も今後の見通しなどの情報を聞かせてくれるはずです。そうした会話の中から、それまで気づいていなかったニーズや隠れた不満などがわかることもあるでしょう。
●さらにもう1つ、トップの表敬訪問には重要な役割があります。それは、同業他社の動向をつかむこと。他社がどれくらいの頻度で訪問し、どのように攻勢をかけているのか。あるいは、同業他社の社長も表敬訪問をしているのかどうか、それとなく聞き出すのです。それによって、自社の優位性がどの程度なのかを知ることができます。
●とくに、重要な顧客に対してはトップ同士の情報戦がカギとなります。製品やサービスの質や価格で勝負するのは素晴らしい心意気ですが、表敬訪問も決しておろそかにすべきではありません。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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