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木の五衰について

投稿日時:2010/02/05(金) 15:52rss

●幸田露伴の随筆『洗心廣録(洗心録)』に、「木の五衰」(木がどのようにして弱っていくのか)が書かれています。

●まず第一段階として、木が繁茂してくると「懐の蒸れ(ふところのむれ)」というものが始まります。枝葉がふんだんに茂ったために風通しが悪くなり、蒸れはじめるのです。そうなると、酸素の代謝が悪くなり、害虫が付きやすくなるなどの問題が出始めます。

●その結果、木が伸びなくなります。これを「末止まり(うらどまり)」といい、成長がストップします。これが第二段階です。

●次の第三段階目では、「裾上がり(すそあがり)」が始まります。本来、木が成長過程にあるならば、根は深く広く伸びなければなりません。しかし、「裾上がり」になると、根が地表に出てしまい傷ついたり腐ったりします。

●裾上がりした木は根っこからではなく木の上部から枯れ始めます。これを第四段階の「末枯れ(すえがれ)」といいます。

●そして最後、「虫食い」の発生です。末枯れした木は害虫によって完全に枯れていきます。木が枯れるプロセスをみると、最初から害虫に食われて枯れたように思われがちですが、実際に枯れるまでの過程には、こうした段階があるのだそうです。以上が「木の五衰」です。

人間も企業も、真の実力は根っこの充実によるところが大きいものです。果たして、私たちは広く、太く、地表の奥深くに根をおろしているでしょうか。どこかで「末止まり」や「裾上がり」を起こしていないでしょうか。また、根っこ以外にも、枝葉をつけすぎるあまり代謝を阻害してはいないでしょうか。

●芽生えたての木が一日で大木になれないのと同様に、個人や企業が社会に認知される前には、「実力はあるが、まだ無名」という時期が必ずあります。そのようなときは、見てくれだけをよくして売名行為にうつつを抜かすのではなく、根っこの充実を図ることを忘れないようにしましょう

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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