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行動を共にできる相手

投稿日時:2010/02/19(金) 13:16rss

●かつてある会社の経営会議に出席したおり、ささいなことから口論となり社長が専務をクビにするという”事件”がおきました。ことの発端はカレーチェーン店「C」社のカレーが美味いか不味いかという些細なことです。

それだけ聞くと、“大のオトナが情けない”と思われるかもしれませんが、彼らにとってカレーの好みの差は氷山の一角であり、一事が万事、日ごろから意見や好みがあわなかったのです。

意見が合う・合わないというのは調整できますが、趣味や感性が違っていると互いに歩み寄りようがないのかもしれません

●だからこそ、部下の喜怒哀楽や趣味嗜好が自分と同じである時、社長はすごくうれしいものです。それは社長に限った話ではなく人間の本性というべきものかもしれません。

ある日、私の講演会に部下を連れて参加されたS社長からこんなメールをもらいました。

「先日の岐阜での公開セミナーに大阪より参加させてもらいましたSでございます。私は武沢先生のお話をうかがうのはこれで2度目ですが、途中、涙がこみ上げてくるのを堪えていました。

今回は、自社の社員に是非聞かしてあげたいと最近入社してくれた二人の若手社員を連れて行きましたが、正直、最初は彼らがどういう意識で拝聴するか、不安でした。社長に無理やり連れて来られて、あまり感動もなく、ただ座っているだけで終わるかもと思っていました。

最初、受付で武沢先生の本を売っていたので、お前も買わないか?と尋ねたところ、[僕はこんな本、自宅にもたくさんありますから要らないです]といっていました。あぁやっぱり、連れてきても意味が無かったかと思いました」
●「セミナーが終わって、私は先生に挨拶に行きましたが、彼ら2名はその間になんと、自分の意思で先生の本を2冊ずつ購入していました。私は、1冊しか購入しませんでしたが(笑)・・。涙がこみ上げてくる思いでした。

そのあと、懇親会場へ移動する間、彼らが満足げな顔で『社長、今日は本当に来て良かったです』と素直に心から感謝していました。私は涙を堪えるのに苦労しながら感激しました。彼らの心に何か響いたのでしょう、心からこみ上げてくる熱い思いが顔に出ていました。

自分より一回り以上年下の彼らと、同じ感動を分かち合うことができて、これからの会社運営に意を強くもつことができました。創業して10年目になりますが、ようやく盟友に出会えた気分です。(後略)」

●私もこのメールに感動したので、さっそくS社長に返信したところ、再び次のメールが来ました。

「あれから、三人で話し合いましたが、我社の経営方針がはっきり決まりました。我々が真剣に世の中を変えてやろう、我々がこの業界を引っ張ってやろうと決断しました。男50にしてようやく死に場所が定まったようです」とありました。

人気ビジネス書『ビジョナリー・カンパニー』でも、まず大切なことは「適切な人をバスに乗せること」だと説いています。時には不適切な人をバスから降ろすか、後部座席に追いやることも重要だと説いています。そして、適切な人が運転席に集まって、自分たちの目的地を決めるくらいで十分だというのです。

目的地へいくのにふさわしい人を探すのではなく、ふさわしい人を見つけて目的地を決めるのだという考え方に最初私は疑問を抱きましたが、夫婦だってそれに似ています。結婚してから互いに話し合って夢を見つける方が一般的です。

盟友を見つけるには、こちらも盟友相手にふさわしい人間でなければなりません。男惚れする人間になること、それが行動を共にできる相手を見つける鍵だと思うのです。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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