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働きやすいとは

投稿日時:2010/04/16(金) 13:27rss

●先日、リクルートで働く女性と楽天で働く男性と一緒にあんこう鍋をご一緒しました。リクルートと楽天は業界こそ違え、今ではライバル関係にあるそうです。
ともに働きやすさを追求しているという点でも共通しているそうで、ともに頭文字がRであることから「RからRへ」に転職や引き抜きが行われることもあるとか。

●ドラッカーが言うように、ホワイトカラーの時代のスタッフは、会社や上司に妥協や気兼ねして働くよりも、自由に働かせてくれるところを選ぶようになります。
当然、経営者は、給料や休日、勤務時間といったハード面だけでなく、仕事のシステムや会社の環境といったソフト面も含めて待遇改善を計っていく時代なのです

●私の場合、ニューヨークやロサンゼルス、上海、香港といった活気がある街が好きで、そこに居るだけでテンションが上がってくるような気がします。実際、上海には4年ほどオフィスを借りて仕事をしたこともあります。そうした物理的環境も働きやすさに大きな影響を与えるでしょう。しかし最近は、空気の悪いアジアよりは東京の方が好みなのですが、ここでは余談。

●働きやすいということは生活しやすいということと密接な関係があるようです。米国のシリコンバレーのベンチャー企業では、人材こそが最高の経営資源であり、人材確保と定着が重要な経営課題にあげられます。一部の有名企業では、人もうらやむような環境が社員のために用意されています。
「我社は、社員が働きやすい環境をつくります」という方針を掲げる企業では、それを具体化せねばなりません
まずは、ハード面とソフト面から「働きやすい環境」というものを定義していきましょう。そのためには、今いる社員にフリーアンケートをとれば良いでしょう。
「将来こんな会社になったらいいなアンケート」というもので、自由に希望を書かせるのです。えっ!と驚くような奇抜な答えが含まれていることでしょう。

・24時間使えるジムを作ってほしい
・小さい子供を会社で預かってほしい
・会社でランドリーサービスの受付をつくってほしい
・シャワールームか風呂を作り、ロッカーも自分専用がほしい
・(酒を適量)飲みながら仕事したい
・本代はすべて会社経費でまかなってほしい
・社員食堂のメニュー充実と費用の無料化
・社内のドリンクやフルーツの無料化
・大学か大学院または専門学校やビジネススクールへ通わせてほしい
・勤続表彰は、3年単位で好きな国へ一人で行かせてほしい
・勤務時間内で自由研究の時間をとらせてほしい
・自分の配属先は自分で決めさせてほしい
・自分の上司(部下)は自分で決めたい
・・・etc.

そんな都合の良いことばかり並べ立てて…、と腹を立ててはなりません。これらは、どこかの会社で行われている実例ばかりなのですから。

●「われわれは失敗にも報酬を与えている。機能しない照明器具をつくったチーム全員にテレビセットを贈ったこともある。そうしないと、社員は新しい挑戦を避けるようになる」とアメリカのジャック・ウェルチ(GE元会長)が言うような、大胆な人事システムも考案していくべきでしょう。

●これまで企業は、社員に賃金を支払い、休暇を与え、労働時間を短縮し、福利厚生を充実させるという方向で酬いてきました。
しかし、これからは楽しく充実した仕事環境・生活環境を実現するために今までとは別の視点で社員の期待に応えていくべきでしょう。優秀な人材を確保し、快適に働いてもらうための投資は、充分な見返りがあるはずです。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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