武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
心をこめて感謝する
●「ありがとう」という感謝の言葉にどれだけ心がこもっているでしょうか。
あるとき、名古屋の設計事務所の経営計画発表会に招かれました。
一般的な経営計画発表会はこれまでもたくさん見てきていますが、この会社の発表会は忘れることができないものになりました。
●まず司会の開会宣言のあと、会場前方にあるスクリーンに映像が映し出されました。
その設計事務所のこの一年間の作品(建築物)が外観や内装はもちろん、実際使われている最近の様子や、施主の感謝の言葉などが流されたのです。
●数分間の映像をみているうちに、自分たちが日頃やっている仕事が社会でどのように役立っているのかが再認識できるようになっていました。
その後、「黙祷」の声で全員が黙祷をはじめました。その黙祷の間に、音声が場内に流れます。これは、あらかじめ女性スタッフが吹き込んでおいたもののようです。
「今年もお客様がわたしたちをご指名下さったおかげで、この一年間、おもいっきり仕事に専念することができました。そして、個人や家庭の生活も守ってくることができました。
来年以降の仕事や生活が誰かに保証されているわけではありませんが、これからも私たちがお客様に支持される仕事を続けるかぎり、安心して仕事を継続発展させることができることを私たちは知っています。これからもおごり高ぶることなく、謙虚にお客様の要望を形にしていきます。私たちは、建築設計の仕事や我が社そのものに誇りをもって仕事をしていきます。」
●その後、経営計画の発表です。その内容もユニークでしたが、一番驚いたのが最後の社員表彰の時間でした。まず勤続5年表彰です。表彰状の文面はこのようなものでした。
「あなたが、入社以来5年間の厳しい訓練に耐え、日々精進・努力を積み重ねてきた事に敬意を表し、ここに副賞として一週間の特別有給休暇と、一名分の海外旅行券に金5万円を添え、表彰状を贈ります。株式会社○○○○ 代表取締役 △△△△ ・・・」
これは社長自らが考えた原稿だそうで、6名の社員が表彰されました。
中国が大好きだという一人の社員をのぞく全員が、仕事で取引があるイタリアに行くそうです。いまどき、勤続5年で外国旅行+有給+金一封だなんて豪勢ですね。
●業績が良いからそれが出来るという面もありますが、業績が悪いときから社長はこうした制度を実行してきたそうです。もちろん最初はもっと低予算のものだったそうですが、少しずつ予算が増えてきたといいます。
●続いて行われた特別表彰。
この会社の番頭格として活躍している三名の幹部が急きょ表彰されました。
彼ら三名の表彰は当初の予定になく、社長からのサプライズ演出だったのです。しかし、
ここでちょっとした"事件"がおきてしまいました。賞状を読み上げる社長の様子がなにかおかしいのです。
「厳しい時代背景のなか、創業時から我が社の経営に参画してくれ、数々の困難をかいくぐってきてくれたあなたの献身的努力なくしては我が社の今日はなく、・・・」
ここで社長は天井を見上げてしまいました。
「すいません、・・・、ちょっと・・、」と言ったまま数秒間声になりません。目が真っ赤です。
ようやくの思いで途切れ途切れにこう続けました。
「どのように感謝しても感謝しきれるものではありません。一つの節目としてここに、大きな感謝と共に、副賞として有給休暇一週間と、海外旅行券二名分と、金20万円を添えて表彰いたします。一名分は貴方を支えられた奥様へのささやかなプレゼントといたします」
●これは予定になかった表彰でした。
社長が涙をながしながら感謝してくれたことで幹部たちも感極まっていました。社長のものか、幹部のものなのか、流した涙が賞状に落ちていました。
あとから見せていただいたのですが、受賞者の氏名の横には奥様の名前も書いてありました。
「この幹部に出会ってよかった」という社長の思いは、「この社長に出逢えて良かった」という幹部の思いとイコールでしょう。
●その他にも風変わりな賞がいくつもありました。「グッドデザイン賞」をとった人への賞状はこうでした。
「入社二年目のあなたの作品には目を見張るものがありました。××の店舗では、予算にも恵まれないなか、多くの色彩を使いこなしながら、いささかも建築的過剰感も感じないどころか、従来の我が社になかった“軽さ”、“楽しさ感”を生み出した功績は大きなものがあります。施主からも大きな賞賛をいただき、次の物件の受注にも繋がりましたことに感謝を表します。また別の物件の△△の店舗では、逆に予算のある立派な店舗の内装において、ボキャブラリーを増やしすぎることなく、“品格”を見事に作品に表現したことにも、若さに似合わず全体の本質を見極めた力量に、今後の大きな可能性を感じます。とくに、カウンター周りのガラスの内装は見事な出来栄えでした。・・・」
●すべての賞が、このように社長の言葉によって表彰理由が語られ、賞状にそれが印刷されています。記念のプレートや記念品のiPodもうれしいでしょうが、この賞状こそ若いスタッフの宝ものになるはずです。
みんなの前で誉める、みんなの前で感謝する、しかも思いをこめてそれを行う、ということを考えてみましょう。
あるとき、名古屋の設計事務所の経営計画発表会に招かれました。
一般的な経営計画発表会はこれまでもたくさん見てきていますが、この会社の発表会は忘れることができないものになりました。
●まず司会の開会宣言のあと、会場前方にあるスクリーンに映像が映し出されました。
その設計事務所のこの一年間の作品(建築物)が外観や内装はもちろん、実際使われている最近の様子や、施主の感謝の言葉などが流されたのです。
●数分間の映像をみているうちに、自分たちが日頃やっている仕事が社会でどのように役立っているのかが再認識できるようになっていました。
その後、「黙祷」の声で全員が黙祷をはじめました。その黙祷の間に、音声が場内に流れます。これは、あらかじめ女性スタッフが吹き込んでおいたもののようです。
「今年もお客様がわたしたちをご指名下さったおかげで、この一年間、おもいっきり仕事に専念することができました。そして、個人や家庭の生活も守ってくることができました。
来年以降の仕事や生活が誰かに保証されているわけではありませんが、これからも私たちがお客様に支持される仕事を続けるかぎり、安心して仕事を継続発展させることができることを私たちは知っています。これからもおごり高ぶることなく、謙虚にお客様の要望を形にしていきます。私たちは、建築設計の仕事や我が社そのものに誇りをもって仕事をしていきます。」
●その後、経営計画の発表です。その内容もユニークでしたが、一番驚いたのが最後の社員表彰の時間でした。まず勤続5年表彰です。表彰状の文面はこのようなものでした。
「あなたが、入社以来5年間の厳しい訓練に耐え、日々精進・努力を積み重ねてきた事に敬意を表し、ここに副賞として一週間の特別有給休暇と、一名分の海外旅行券に金5万円を添え、表彰状を贈ります。株式会社○○○○ 代表取締役 △△△△ ・・・」
これは社長自らが考えた原稿だそうで、6名の社員が表彰されました。
中国が大好きだという一人の社員をのぞく全員が、仕事で取引があるイタリアに行くそうです。いまどき、勤続5年で外国旅行+有給+金一封だなんて豪勢ですね。
●業績が良いからそれが出来るという面もありますが、業績が悪いときから社長はこうした制度を実行してきたそうです。もちろん最初はもっと低予算のものだったそうですが、少しずつ予算が増えてきたといいます。
●続いて行われた特別表彰。
この会社の番頭格として活躍している三名の幹部が急きょ表彰されました。
彼ら三名の表彰は当初の予定になく、社長からのサプライズ演出だったのです。しかし、
ここでちょっとした"事件"がおきてしまいました。賞状を読み上げる社長の様子がなにかおかしいのです。
「厳しい時代背景のなか、創業時から我が社の経営に参画してくれ、数々の困難をかいくぐってきてくれたあなたの献身的努力なくしては我が社の今日はなく、・・・」
ここで社長は天井を見上げてしまいました。
「すいません、・・・、ちょっと・・、」と言ったまま数秒間声になりません。目が真っ赤です。
ようやくの思いで途切れ途切れにこう続けました。
「どのように感謝しても感謝しきれるものではありません。一つの節目としてここに、大きな感謝と共に、副賞として有給休暇一週間と、海外旅行券二名分と、金20万円を添えて表彰いたします。一名分は貴方を支えられた奥様へのささやかなプレゼントといたします」
●これは予定になかった表彰でした。
社長が涙をながしながら感謝してくれたことで幹部たちも感極まっていました。社長のものか、幹部のものなのか、流した涙が賞状に落ちていました。
あとから見せていただいたのですが、受賞者の氏名の横には奥様の名前も書いてありました。
「この幹部に出会ってよかった」という社長の思いは、「この社長に出逢えて良かった」という幹部の思いとイコールでしょう。
●その他にも風変わりな賞がいくつもありました。「グッドデザイン賞」をとった人への賞状はこうでした。
「入社二年目のあなたの作品には目を見張るものがありました。××の店舗では、予算にも恵まれないなか、多くの色彩を使いこなしながら、いささかも建築的過剰感も感じないどころか、従来の我が社になかった“軽さ”、“楽しさ感”を生み出した功績は大きなものがあります。施主からも大きな賞賛をいただき、次の物件の受注にも繋がりましたことに感謝を表します。また別の物件の△△の店舗では、逆に予算のある立派な店舗の内装において、ボキャブラリーを増やしすぎることなく、“品格”を見事に作品に表現したことにも、若さに似合わず全体の本質を見極めた力量に、今後の大きな可能性を感じます。とくに、カウンター周りのガラスの内装は見事な出来栄えでした。・・・」
●すべての賞が、このように社長の言葉によって表彰理由が語られ、賞状にそれが印刷されています。記念のプレートや記念品のiPodもうれしいでしょうが、この賞状こそ若いスタッフの宝ものになるはずです。
みんなの前で誉める、みんなの前で感謝する、しかも思いをこめてそれを行う、ということを考えてみましょう。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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