武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
写経ならぬ……
●私は気が向けば自宅だけでなくお寺に行って写経することがあります。最近は金閣寺と高野山の宿坊で写経してきました。そんな話をある場所でしたところ、「私は自社の決算書を毎日のように写経しています」と言う社長がみえました。
●「え、決算書を写経?」と驚く私にむかってその社長はこう言いました。
「もちろん写経も大好きですが、それより熱中していることは、毎月の決算書や今期の計画数字を何度もくりかえし書くことです。手書きで丁寧に書いていると、その数字の向こう側にあるこちらのガンバリや怠慢の具合が手に取るように分かりますし、やるべきことが鮮明に浮かび上がってきます」
●気になったので幾つか質問してみました。
・書式はあるのか
・所要時間はどれくらいか
・それによってどんな変化があったか
書式はないそうで、コピーの反古紙のウラに「売上高 10,545,961」という具合に千円単位で書くそうです。時には、部門別の売上高を書くこともあるとか。
「売上高」の次に「売上原価」、「粗利益」「販売費及び一般管理費」「営業利益」「営業外損益」「経常利益」「特別損益」「税引前利益」という具合に書いていくそうです。
その次に、今期または今月の目標数字を横に書きます。
所要時間は長くて30分。スラスラと書いてしまえば数分で終わるところを、呼吸を整えつつ丁寧に筆ペンで筆写するので30分近くかかるそうです。
●作業中うれしくなったり、悲しくなったりすることもあるそうですが、それ以上に驚くことは、ご自分でもビックリするぐらい会社の数字が頭に刻み込まれること。
たしかにそうかもしれません。何度も繰り返し同じことを書くことには意味があります。
●25年以上前、ライフワークという言葉が流行しました。その火付け役となったベストセラー本が『ライフワークの見つけ方』(井上富雄 著)です。この本は私にとって最初に読んだビジネス書でもあり、今でもものすごく思い入れのある本です。
●20代前半だった私は、当時、何度も何度も繰りかえし読みました。
そして、男子たるもの気宇壮大に人生の青写真を描こう、そのためには人生25ヶ年ビジョンを作って自分のライフワークをもとう、ということを学びました。
●仕事を終えて深夜の独身アパートに戻り、大学ノートを開いて人生25ヶ年計画を何度も何度も作り直しました。ワープロすらない時代です。
毎日、消しゴムのかすでテーブルが真っ黒になるほど書いては消し、消しては書いてビジョンを作りました。
●シナリオAは、サラリーマンとして出世し、頂点である社長を目指すというもの。
シナリオBは、結婚までに独立して自分の会社をもち、事業を発展させるというもの。
それぞれのシナリオを細部にわたって考え、書きました。
●結局私はシナリオBを選び、今もその路線を歩んでいるわけですが、時間だけは人生25ヶ年計画の終点まで来たわけです。
残念ながらその当時のノートは残っていません。
ですが、脳裏にはっきりと書式や中味が刻まれています。それは、大変な手間ひまをかけて手作業で何度も作り直したからです。
●写経ならぬ、写目標、写計画、写決算、・・・面白い作業だと思いませんか。
●「え、決算書を写経?」と驚く私にむかってその社長はこう言いました。
「もちろん写経も大好きですが、それより熱中していることは、毎月の決算書や今期の計画数字を何度もくりかえし書くことです。手書きで丁寧に書いていると、その数字の向こう側にあるこちらのガンバリや怠慢の具合が手に取るように分かりますし、やるべきことが鮮明に浮かび上がってきます」
●気になったので幾つか質問してみました。
・書式はあるのか
・所要時間はどれくらいか
・それによってどんな変化があったか
書式はないそうで、コピーの反古紙のウラに「売上高 10,545,961」という具合に千円単位で書くそうです。時には、部門別の売上高を書くこともあるとか。
「売上高」の次に「売上原価」、「粗利益」「販売費及び一般管理費」「営業利益」「営業外損益」「経常利益」「特別損益」「税引前利益」という具合に書いていくそうです。
その次に、今期または今月の目標数字を横に書きます。
所要時間は長くて30分。スラスラと書いてしまえば数分で終わるところを、呼吸を整えつつ丁寧に筆ペンで筆写するので30分近くかかるそうです。
●作業中うれしくなったり、悲しくなったりすることもあるそうですが、それ以上に驚くことは、ご自分でもビックリするぐらい会社の数字が頭に刻み込まれること。
たしかにそうかもしれません。何度も繰り返し同じことを書くことには意味があります。
●25年以上前、ライフワークという言葉が流行しました。その火付け役となったベストセラー本が『ライフワークの見つけ方』(井上富雄 著)です。この本は私にとって最初に読んだビジネス書でもあり、今でもものすごく思い入れのある本です。
●20代前半だった私は、当時、何度も何度も繰りかえし読みました。
そして、男子たるもの気宇壮大に人生の青写真を描こう、そのためには人生25ヶ年ビジョンを作って自分のライフワークをもとう、ということを学びました。
●仕事を終えて深夜の独身アパートに戻り、大学ノートを開いて人生25ヶ年計画を何度も何度も作り直しました。ワープロすらない時代です。
毎日、消しゴムのかすでテーブルが真っ黒になるほど書いては消し、消しては書いてビジョンを作りました。
●シナリオAは、サラリーマンとして出世し、頂点である社長を目指すというもの。
シナリオBは、結婚までに独立して自分の会社をもち、事業を発展させるというもの。
それぞれのシナリオを細部にわたって考え、書きました。
●結局私はシナリオBを選び、今もその路線を歩んでいるわけですが、時間だけは人生25ヶ年計画の終点まで来たわけです。
残念ながらその当時のノートは残っていません。
ですが、脳裏にはっきりと書式や中味が刻まれています。それは、大変な手間ひまをかけて手作業で何度も作り直したからです。
●写経ならぬ、写目標、写計画、写決算、・・・面白い作業だと思いませんか。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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