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経営の困難

投稿日時:2011/01/21(金) 16:30rss

●「おかげさまで幸せです」が口ぐせの社長がいます。社員のおかげ、家族のおかげ、お客様のおかげ、と「おかげ」ばかりを連発するのです。そういう言葉を発するときは、物腰も自然に謙虚になるものです。
その反対に「あいつのせい」「こいつのせい」と「せい」ばかりを連発する社長もいます。
その表情はいつも怒っている人特有の眉間をしています。

●これまでにたくさんの社長とお会いしてきましたが、「うちの会社には、何ひとつ問題がありません」と胸をはって答えられる社長にはお会いしたことがありません。きっとこれからも会うことはできないと思っています。もしそんなことを言う人がいるとしたら、よほど理想や目標が低い人なのでしょう。

●では、「問題はたくさんあるが、困難には直面していない」という経営者はどの程度いるのでしょう?
それにはデータがあるのですが、正解は、おおむね1割です。9割の経営者は困難を抱えながら経営を行っているという調査結果が出ているのです。

●中小企業金融公庫が2004年に「経営環境実態調査」として発表したもの。少々古いデータではありますが、何らかの参考になるでしょう。

問1.あなたは今、経営上の困難に直面していますか?
    はい、いいえ
問2.はいの場合、経営に最も影響の大きい問題は何ですか?
    売上が伸びない、資金繰難、人材不足、後継者難、技術力不足、その他

●当然、従業員規模によって回答内容に微妙な違いがあります。「困難に直面していますか?」に対して『いいえ』と回答した企業の割合をみてみますと、従業員数20名未満の企業は10.3%、従業員数301名以上の企業は13.6%となっています。企業規模が大きいほど、その割合も高くなっていますが、おおむね10%強が「困難はない」と認識しています。

●逆から見ると90%近くの会社が「困難がある」と答えているのですが、その内訳は、
一位:売上が伸びない、減少している(40%~47%)
二位:人材不足(21%~32%)

●ちなみに三位の「資金繰難」については

企業規模が小さいほど大きな問題になっています。従業員20人未満の会社の15.7%がこの問題を抱えており、301名以上の企業になるとこれは、3.4%の会社に過ぎません。

●整理してみましょう。

1.困難を抱えている会社はざっと9割(残り1割は困難を抱えていると思っていない)
2.企業規模を問わず「売上が伸びない」が最大の困難
3.企業規模を問わず「人材不足」が二番目の困難
4.企業規模が大きくなるほど、「人材不足」と回答する企業の割合が増える
5.企業規模が小さくなるほど、「資金繰難」と回答する企業の割合が増える

●困難に直面しているのはあなただけではありません。
それを抱えながら前進するのが社長業。逃げずに立ち向かい、困難を乗り越えて強くなっていきましょう。

ボードメンバープロフィール

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武沢 信行氏

1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。

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