武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
テストと考査
●変化するとは、今の上に新しく何かをトッピングすことではありません。
いったんゼロにすることであり、いったんやめること、いったん忘れることから始まるものです。
●より良い話し方をマスターするとは、表面的な技法を身につけることではなく、話し方を根本から変えることです。同時にそれは、生き方を変えることでもあると教えられたのに、そのことに気づかなかった私はかつて大失敗しました。
●「日本話し方センター」の故・江川ひろし先生の講座を受けたときのことです。初日の研修が終わろうとする時に宿題が出ました。家に帰って、明日までにやってくるものです。
今日の講座でどの程度学んだかをチェックする目的で、テキストやノートを見ても構わない「考査」というもので、学んだ通りの表現や言葉を使って回答するものです。
●「なんだ、簡単じゃないか」出題を見て、私は安心しました。どこかでなめてしまっていたのでしょう。受講者仲間とファミレスでハンバーグを食べながらその場で片づけてしまいました。
そして、翌日の午後、結果発表がありました。
●「成績の良い順に答案をお返しします」と事務局。
私は、自分が首位で100点満点だと信じていたのですが、事務局は、「トップの方は、山本太郎さん。88点です」と言いました。我が耳を疑いました。
「あれ?」自分の名前ではない。しかも88点ではありませんか。
●「二番目の方は85点で須藤ちか子さん」、「三番は81点の松木順さん」・・・・。
あれあれ~、全然私が呼ばれない。最初は何かの間違いだと思っていましたが、だんだん自信がなくなり放心状態になりかけたとき「24番めのかたは、武沢信行さん。43点です」
●33人中24番。
江川先生から答案用紙を受け取り、席へもどりました。身体が火照っています。答案用紙は×だらけ。これが「考査」というものの恐さだと思い知りました。
●他の生徒たちは、テキストの表現や講座中の板書メモに沿って忠実に回答していたのに、私は、自分の言葉づかいで回答していました。いわゆる「テスト」だったら高い点数が取れたのかもしれませんが、「考査」ではそれが通用しないのです。
●この出来事を通して私は、学ぶことにも二種類あるのだと思い知らされました。
一つは、主旨を理解する学習法。もう一つは、学んだことをそっくりそのまま再現できる学習法。
●主旨を理解すれば充分な学習もあるでしょう。しかし、主旨の理解だけではダメな学習もあるということです。
むしろ、自分の経験をもとにした過去の知識はかえってジャマになることもあると気づかされました。
何かを学ぶときには、積極的に過去のことを忘れましょう。一時的でも構わないので、とにかくまったく知らない人になって素直に学ぶことが求められることがあります。
謙虚で真摯な学習姿勢が、変化と成長の原動力になるのだと教えられた一日でした。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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