武沢信行の「社長の学校・事始め」 | 経営者会報 (社長ブログ)
社長業を極めるためのカリキュラムについて、「日本的経営のリニューアル」という視点から紹介します
新しい顧客サービスを
●米国メジャーリーグでは、ファンサービスの一環として人気選手の一人がユニホームにピンマイクを付けてプレイする日があります。選手の声はテレビの副音声でそのまま放送されるそうで、通常の放送とはひと味違う楽しみがあるそうです。
●かつて、新庄選手がメジャーでプレイしていたある日のこと、ヒットで出塁した新庄選手に、相手チームの一塁手が話しかけてきました。当然、相手選手も、この日は新庄がマイクを付けていることを知っています。
「やぁ、新庄。ナイスバッティング」
「おぉ久しぶり。ありがと、我ながら完璧だった」
「ところで、そろそろ日本へ帰るのだろう」
「いいや、帰らないよ」
「野球プレイヤーのあとは何をやるつもり」
「(ちょっと間があってから) ムービースター!」
「マジかよ?」
「ああ、マジだ」
こんな会話がライブで聞けるのだからファンにはたまりません。
●別の日、あるアメリカ人選手(外野手)は、味方投手が連打を浴びつづけ、なかなか守備時間がおわりません。そんなとき、
「なにやってんだよ、お前。早く終わらせろよ、俺の方まで調子がおかしくなるぜ」
「頼むから今日は俺の方へ打球を飛ばさないでくれ」
などと一人グチりつづけるのです。
試合内容がつまらなくても、こうしたアメリカンジョークが聞けて、最後まで楽しく放送が見られのです。実にファンを大切にする試みだと思いませんか。
●日本でもようやく試合中に監督インタビューを受け付けたり、審判の頭にカメラを付けたりと、新しいファンサービスを始めましたが、とても良いことだと思います。
日本球界のファンサービスのあり方に大きな影響を与えた人として、アマチュア野球「茨城ゴールデンゴールズ」の萩本欽一さんがいます。彼のおかげでアマチュア野球がとても熱くなりました。
●演歌歌手・山本譲二氏が設立した社会人野球チーム、山口きららマウントGが、萩本監督率いる茨城ゴールデンゴールズと、対戦したことがあります。
結果は、13-12という壮絶な打撃戦を制し、山本監督のチームに軍配があがりました。1回裏には茨城GGの女性先頭打者に対し、山本監督は、同じ女性の投手を起用したり、9回には自分も代打で出場し、長島選手ばりの空振り三振で約1万人のファンを喜ばせたりしました。
●欽ちゃんお得意のマイクパフォーマンスはもちろん、この日は、元ジャイアンツの宮本和知投手を助っ人登板させたり、歌手の森山直太朗がゲスト登場し、歌と笑いと真剣勝負を織りまぜた演出に、ファンはみな大満足で帰路についたと報じられました。
●「茨城ゴールデンゴールズ」の本拠地は、茨城県稲敷市(旧・桜川村)。大半が農村部です。選手らは稲敷市に住み込み、野球と農業の両立を目指しています。
「社会人野球チームが相次いで廃部の傾向にあることや、プロ野球も再編の波に押されるなど、野球界全体が揺れ動いているので、少しでも野球界の活性につながれば」とこのチームを結成することを決心したという欽ちゃん。
●専用球場には村民の1割にあたる約700人のファンが集まることもあります。
お正月などは駐車場で餅つきをするなどのお祭り騒ぎで、地元の警察署員も出動するほど。 欽ちゃん自身、朝10時から夕方5時まで、集まったファンすべてにサインします。どんなに時間がかかっても、時間の許す限りサインするのです。「だって、来てくださいって言ったのは僕だもん」と、ファンを大事にする欽ちゃんらしい言葉ではありませんか。
●ファンサービスを追究するこうした事例から学びましょう。それによって、あなたの会社の顧客サービスも今までとは違う視点がきっと見つかるはずです。
ボードメンバープロフィール
武沢 信行氏
1954年生まれ。愛知県名古屋市在住の経営コンサルタント。中小企業の社長に圧倒的な人気を誇る日刊メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』発行者(部数27,000)。メルマガ読者の交流会「非凡会」を全国展開するほか、2005年より中国でもメルマガを中国語で配信し、すでに16,000人の読者を集めている。名古屋本社の他、東京虎ノ門、中国上海市にも現地オフィスをもつ。著書に、『当たり前だけどわかっていない経営の教科書』(明日香出版社)などがある。
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